アフガン大使館 見たまま聞いたまま

駐日アフガニスタン大使館のインターンが、日々見たもの・感じたことをルポ形式で紹介します!

アーモンド香るアフガンのお花見

 「お花見をやるよ!」
 

 3月末のある日、携帯を見ると、インターン生の1人からメッセージが。大使館近くの公園で、お花見をするという。この公園は、100本以上の桜が見られる花見の名所だ。

 

 誘ってくれたのは、アフガン生まれのインターン生、マーク(仮名)。料理が得意で、よくお手製の「チャイ」を大使館へ持ってきてくれる。今回も、アフガン風のレモネード(サフラン入り)や、「ダル」(スパイシーなレンズ豆の煮物)を作るという。ダルには欠かせない「ナン」は近所のインド料理屋で買う予定だ。
 

 お花見の準備に手慣れている様子のマーク。ふと、アフガンのお花見文化が気になった。マークによると、アフガンにも「お花見」はある。楽しみ方も日本とほとんど変わらない。満開の花の下で、大人数が敷物に座り、楽しく飲み食いする。

 

 しかし、1つ大きな違いがある。日本の花見の主役は「桜」だが、アフガンでは「アーモンド」だ。

 

 大使館職員の1人に聞くと、アーモンドの花は、白とピンクが混ざったような色。桜との雰囲気の違いを聞くと、「似てるなあ」。
 

 似た花で花見をする2国だが、似ている点は花見以外にもある。アフガンには「こたつ」があり、葬式やお盆の習慣もあるという。また、アフガンのお正月「ナウローズ」は、「春の到来を告げる日」である3月21日。日本の「春分の日」と同じ時期だ(大使館HP)。
 

 なぜ、6000キロメートル離れた国の文化が似るのか。前回の記事でも述べたが、アフガンにはシルクロードが通っていた。アフガンの文化が、中国を通って日本に広まっても不思議ではない。遠く見えるが、繋がっているのかもしれない。
 

 ちなみに、「アーモンドの花」と言えば、有名な絵がある。ゴッホの「花咲くアーモンドの木の枝」だ。

 

f:id:afghanembassyJP:20180430202700j:plain (ゴッホの「花咲くアーモンドの木の枝」)

 

 この絵は、フランス南部の町サン=レミ=ド=プロヴァンスで描かれたとされる(オランダのゴッホ美術館)。ゴッホも、アーモンドの花を見て春の訪れを感じたのだろう。

 

 桜に似た花を見て、春を感じるフランス人やアフガン人を想像してみた。世界は結構、狭いのかもしれない。