アフガン大使館 見たまま聞いたまま

駐日アフガニスタン大使館のインターンが、日々見たもの・感じたことをルポ形式で紹介します!

アフガニスタンは「ゆるキャラ」の国?

 「アフガニスタン・イスラム共和国」と聞くと、何を思い浮かべるだろうか。正直言って、明るい印象はあまりないと思う。私もそうだった。


 だから、インターンを始めた直後に、大使館の「ゆるキャラ」企画を知って驚いた。インターン生と大使館職員が、大使館の公式マスコットキャラクターを1から作ろうとしていた。キャラクター案は4つ作り、ツイッターで投票してもらい決めるという。「ゆるキャラ総選挙」だ。


 総選挙の「候補者」は、アフガン大使館のツイッターで確認することができる(https://twitter.com/AfghanistanInJP/status/985760224236650496)。ユキヒョウの「アザールくん」、羊の「バハールちゃん」、足の生えたターバン「パシュ」そして、アフガンの少年の「チャイくん」。「ゆるキャラ」とは、雰囲気が緩いご当地キャラクターのこととされる。手作り感溢れるデザインは、まさに「ゆるキャラ」だ。

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ユキヒョウの「アザールくん」)

 

 実は、アフガン大使館がマスコットキャラクターを作るのは初めてでない。「羊のバハールちゃん」は、数年前にも企画されたキャラクターだ。主導したのは、当時の大使館職員やインターンたち。キャラクターの名前をツイッターで募集し、ぬいぐるみや、ラインスタンプも作った。ところが、担当者が変わるなどトラブルが続き、企画は立ち消えになってしまったという。今回は2度目の挑戦なのだ。


 しかし、なぜ「ゆるキャラ」にこだわるのか。大使館の職員やインターン生に聞くと、伝わってきたのは「アフガンの良いイメージを広めたい」との想いだ。


 アフガニスタンは、多様な文化の国だ。古くはシルクロードの交易で栄え、各地の文化が交じり合った。象徴的なのが、世界遺産バーミヤン仏教遺跡だ。ユネスコによれば、インドやギリシャ、ローマ、ササン朝などの文化の影響が見られるという。また、自然豊かな国でもある。山がちの地形のために、開発が届かない地域が多い。アフガン東部の険しい山々には、絶滅危惧種ユキヒョウが生息する。


 ところが、一般的にアフガンと言えば、2001年から続いた戦争や、難民のイメージが強い。復興が進む一方で、「アフガンへのイメージは2001年から止まったまま」(大使館職員)だ。


 もちろん、ゆるキャラでアフガンのイメージが一変するわけではないと思う。しかし、明るいアフガンの姿を発信する機会にはなるはずだ。「アフガニスタン」という名前を聞いた時、「ああ。『アザールくん』の国ね」と思って貰うことが、第一歩だ。